雨からの物語

心が鏡にうつる詩集

ガソリンスタンドの女

ガラガラのガソリンスタンドに寄る

夜中だから客がいないということだろうか

エンジンを切るとカーオーディオが止まって一気に静かになる

車から降りると虫捕り用の蛍光灯のバチバチという音がする

初めて来るガソリンスタンドでパネルの操作の仕方にちょっと戸惑う

レジに行って金を払う

店員がクスクス笑っているような気がする

何?と聞くと驚いたような顔をする

若い女で茶髪のクルクルした感じ

俺に惚れているのかもしれない

そう思うくらいには夢中になれそうな女

それか知り合いかもしれない

知り合いの知り合いとか

こっちの方からは何も知らない

結局それ以上は何もなくてそのまま外に出て車に乗り込む

もう一度気になって女のほうを見るともう一人の男の店員とこっちを見て本格的に笑っている

ここで引き返して殴ってやるともっと笑えるんじゃないか

そう思って相手を睨む

実際そうできたらどんなに素晴らしいだろう

だけどそこまでキレてないし何も考えてないわけじゃないのが俺だ

それでも後ろ髪を引かれるような後悔めいたものが続く

結局走りだしても我慢できずに道路に出ても見えなくなるまでその女を睨んでやるぐらいのこと