雨からの物語

心が鏡にうつる詩集

エアーコンディショナー

冬の寒さが身にしみる

そんな情緒的な感じじゃない

空気が刺すように冷たい

吐く息はすぐに白くなってポケットに手を入れると肩が怒って見える

自然と眉間にしわが寄ってしかめっ面で向かい風に挑むような感じ

空は曇っているけどそれが大気汚染によるものなのか区別がつかない

駐車場の車に乗り込むとすぐにエンジンをかける

エアコンのレバーをいじって最大出力にする

その後シートベルトを締めて視線が灰皿の方に向く

タバコを止めたのを一瞬後悔した

しばらくエンジンが温まるのを待つ

その間も手はポケットに入れたままでいる

今日は木曜日だと思うけど金曜日のような感じもする

特に金曜日が好きなわけじゃないけど木曜日というのは何故か簡単に忘れてしまう

夏の残暑が厳しくて秋というものが寒い冬の短い助走のようにしか感じられないみたいに

このままの感じだと今日と明日で二日続けて金曜日を経験するような事になるのかもしれない

不意に思って車の灰皿を開ける

その中はキレイに掃除されていて喫煙者ではないという事を十分にアピールできるものだ

念には念を入れてライターもまとめてゴミに出した

それからもう随分時間が経った

気分一新と思ったことがあまり効果がなかったような気がする

失ったものを後悔しながらももう戻らないのだからと心で呟く

車の中ではエアコンがゴーゴーと音を立てて風を送っている

少し暖かくなってきたかもしれない

ハンドルに手をかける

ルームミラーを睨む

そこに映ったものをしばらく見つめながらふとため息をつくとそれは一瞬白くなって消えても漂う