雨からの物語

心が鏡にうつる詩集

合図はいつでも待っている

シュポッと音がする

ワインのコルクが抜かれて宙に掲げて見上げている

僕はそれを口をあんぐりと開けて眺めていた

こんなにキレイに効率よくコルクが抜けるのを見たのは初めてだった

マスターは自信ありげに少し微笑んでいる

ワインをグラスに注ぐとカウンターの端にいる女の客に届ける

僕はその様子を横目で見ていたけれどその女の客は喜んでいるようには見えなかった

店の中はランチの時間帯でも客はまばら

もう書き入れ時の時間帯は過ぎたのかもしれない

入口の方を見ると外は晴れていて明るい光が差し込んでいる

その向こうの通りには何人もの人が行き交う

僕は食べているサラダをフォークでかき混ぜながら口をモゴモゴとしている

カウンターの奥の棚には何種類もの酒の瓶が並んでいてそこには夜の雰囲気を感じる

こんな昼間には似つかわしくないような違和感がある

それでもここが欧米のどこかの田舎のバー辺ならしっくりくるような気がする

そこは古い店でも清潔感があって木目調の椅子とテーブルには味のある艶が出ている

BGMは流れていなくて木の床が軋む音やグラスがテーブルにぶつかる音がする

空は曇っていて薄い雲が幾層にも重なって見える

その隙間から薄っすらと青い色が見えるような気がして目を凝らす

僕は昼間からでも飲んでもいいような気になってくる

マスターに頼むと問題は無いと言ってくれる

それでさっきのワインを僕にも下さいと言うと少し微笑みながらしっかりと頷いてくれる