雨からの物語

心が鏡にうつる詩集

同級生

携帯の画面に映っていたのは知らない電話番号

出ようか出るまいか立ち止まって考える

その間も携帯は鳴り続けている

帰り道の歩道で、バス停でバスを待っているみたいな格好で

結局出ることにして「はい」と僕が応える

「もしもし」と声が返ってくる

「はい」ともう一度応える

相手は自分の名前を名乗り高校の時の同級生だとわかる

そこでバラバラだった鎖が繋がって今度はその鎖がピンと張った緊張感がある

久しぶりと僕は定型的に応える

久しぶりと相手も応えるけどどこか他人行儀だとも言う

そんなことはないと僕は笑って見せながら言う

最近どうしているのかと聞いてくる

僕は特に何もない、いつも通りだと応える

緊張感は続いている

高校の時もこんな感じだっただろうか

何気ない会話がしばらく続く

相手の積極性に僕は辟易している

相手もそれを察知したのかそこから会話が続かない

最後に聞いていい?と相手が言う

いいよと僕が応える

「あの時どうしていなくなったの?」

僕は何と答えたんだろう

耳に携帯をあてたまま周りを見渡す

車の走る音やどこかで工事をしている音がする

あの時だってそうだった場所で、何も変わっていないはずで僕はその場所に茫然と立ち尽くす

空を見上げると青い色に飛行機雲の白い線が伸びている

その先に飛行機の姿は見えずに少しずつ薄くなっていく雲の端は残響のようにその場所でゆっくりと消えていく