雨からの物語

心が鏡にうつる詩集

セピア

白い雲がフランスパンみたいにモクモクと長く伸びている

その上には青い空が整然と並んでいる

ここでは雨は降らない

それだけで十分じゃないか

ポケットに手を入れてそれを眺めていると後ろの方から声をかけられる

叫ぶような声で僕の名前を読んでいる

集合が掛かったみたいだ

指定の場所へ行くともう大方の人数は集まっている

長机と椅子がいくつも並んでいてまるで学校みたいだと思う

実際にそんな感じで周りの人は同じぐらいの年齢で男女比も差はない

僕は適当に席につく

隣には眼鏡を掛けた女子が座っていて本を読んでいる

僕は何の本を読んでいるのか確認しようと覗き込む

するとその女子はこっちを向いて眼鏡越しに目が合う

それは非難しているような視線から僕の存在を確認したような落ち着きに変わる

どこかで会ったことがあるのかもしれない

その後その女子はまた視線を本に戻す

僕は諦めて机に頬杖をつく

ポケットからタバコを出す

一本咥えて火をつけようとする

ライターが見つからない

ポケットの中に手を突っ込んで探してみるけど見つからない

その時ふと気付くと隣の女子がこっちを見ていて確実に非難の眼差しを向ける

僕は一か八かと思ってもしかしてライター持ってない?とその女子に話しかけてみる

室内がシーンとなる

みんなの視線が一気に僕に集まった

その女子も僕を見つめるように睨む

僕以外が一つになる

時間が止まったようにゾッとして僕の体温は下がりはじめる

もしもその状況を写真に撮ったならセピアでその後の事は夢が醒めた瞬間みたいに僕の記憶からは消えていく