雨からの物語

心が鏡にうつる詩集

モンキチョウ

シェードを上げてベランダに出るドアを開ける

空気と一緒にカーテンが舞って車のクラクションや走る音が大きく聞こえる

でもそれがうるさいというよりは静寂をやわらげてくれてる感じで助かる

なかなか整理できない気持ちがあった

いろいろあったと思う

今となっては

手紙を書いてくれた

拙い文章でもありがたい

最後に素直になれたような気がする

文字通りに一歩先を行かれたと思う

アカデミー賞を受賞した舞台で女優が抱き合うみたいに賞賛したい気持ち

ありがとう

それ以外に何が言えるだろう

思い出せることは山ほどある

でも今はやめておこうと思う

ベランダのドアを閉めると一気に沈黙が降りてくる

しばらく部屋の中を眺めていろいろなものに手を触れる

何かの儀式みたいに両手を重ねて胸に当てる

息を深く吸い込むと空気の乾いた匂いがする

季節はちょうど秋に変わる頃だ

何処かからピアノの音が聞こえる

誰かが練習しているのかもしれない

私達の幼い頃のように

蝶々が空を舞う

黄色いカワイイものを運ぶみたいに

頑張れと小さく呟く

決心したように玄関に向かう

繰り返すピアノの中でカツカツと靴の音をたてながら季節はまた進み始める